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愛知県の中でもたくさんの地域を管轄する「愛知県動物保護管理センター」。本所の他に3支所、尾張支所、知多支所、東三河支所を設け、動物の保護・管理・譲渡など様々な取り組みを行なっています。今回、LEONIMALは愛知県動物保護管理センターにお話を伺ってきました。様々な背景から捕獲・持ち込みされた動物たちと直に接し、動物と人とのあり方について常に現実と向き合っている、まさにいのちの現場です。全6回に渡り、センターに入ってくる動物たちの現実や、センターが不幸な境遇におかれる動物たちを減らすべく取り組んでいることをインタビュー形式でお届けしてまいります。第1回目は、動物たちが収容される背景・理由についてのお話です。人が介さなくては決して発生しなかったであろう事情が垣間見えてきました。


LEONIMAL(以下:LE):ここには、犬や猫が色んな事情があって保護・収容されていると思いますが、主にどのようなケースが多いのでしょうか。

愛知県動物保護管理センター(以下:センター):一番多いのは野犬の捕獲です。愛知県はまだまだ野犬が多く、平成27年度の捕獲数は1434件です。この数の中には子犬も親も含まれます。負傷した犬の捕獲は21件です。

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LE:首輪が付いていない犬が捕獲の対象になるということなのでしょうか。

センター:首輪が付いていてもいなくても、県の動物愛護及び管理に関する条例で飼い主と離れている犬は、捕獲の対象になっています。あとは怪我をしている・衰弱している「負傷」した犬です。そして飼い主からの引き取りが96件です。

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LE:飼い主さんが自ら持ち込むというケースもあるんですね。ほとんどないと思っていました。

センター:残念ながら、そうではないです。このセンターができた背景や、法律等を見て頂くと分かるのですが、飼い主が飼育できなくなった動物は引き取らなくてはいけないのです。ただ、我々も飼い主さんに「いらなくなりました」と言われて「はい、そうですか」と引き取るわけにはいかないので、飼い主さんを説得した上で、本当にやむ終えない理由でない限りは、引き取らないようにしております。

LE:実際に飼い主さんへはどのようにお話しされるのでしょうか。

センター:「どうしても飼えない」「もう、いらない」と自分のペットを持ってくる方には、飼い主さんの責任として、きちんと里親を探していただくようお願いしています。また、すぐ引き取るのではなく、もう一度数週間飼い主としての責任をしっかりと考えてもらうようお願いしています。

また、こちらで引き取るということは、殺処分が前提であることをしっかり説明しております。我々が「里親を探していますよ」と宣言してしまうと、譲渡のために犬を引き取っていると捉えられがちで、結果、持ち込みが増えてしまうからです。

LE:そのように考えている方もいらっしゃるということですか?

センター:います。電話でも「あなたのところ、里親をさがしているでしょ」とはっきりといわれた方もいます。そうではないということを伝えたい。我々のところへ持ち込むということは、つまり飼い主さんが殺処分することと同じなのです。我々も、やはり殺処分0を目指したい。その点をきちんと説明をした上で、よほどやむを得ない理由が無ければ引き取らないようにしています。

LE:猫の場合はどういった状況なのでしょうか。

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センター:猫の場合は、犬のように狂犬病予防に関する法律があるわけではありません。放し飼いが禁止されていないので、猫がいるという連絡を受けて、こちらから捕獲をしにいくことはありません。猫の保護・収容の内訳ですが、負傷が322件、所有者が分かっている引き取りは139件、所有者が分からない引き取りは907件です。所有者が分からない907件というのは、ほとんどが子猫です。生みおとされ、所有者不明の状態で、こちらに入ってくる件数です。この907件の猫は、段ボールなどに入れられて明らかに人の手が加わっていると判断されたものは、遺棄とみなされて犯罪として警察が捜査をした上でセンターに入ってきます。

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LE:例えば、自分は猫を飼う意志が無くても、野良猫が生み落とした子猫が庭に何匹かいた場合に、センターに連絡が入ることもありますか。

センター:猫の場合、我々から捕獲をしに行くことはできません。親猫が来られるような近くの安全な場所に移して、見守ってくださいと指導をしています。それを我々が引き取って来ることはできないのです。

LE:例えば、公園で子猫が鳴いていて、通りすがりの人が、かわいそうだからと持って来られる場合は、どうなるのでしょうか。

センター:それは引き取れないです。「また元のところへ親猫が来るから置いてください」という形になります。絶対に野良猫だろうというのはあるかもしれませんが、もしかしたら飼い猫が産んだ可能性もありますし、人が餌をあげて管理している猫の可能性もあります。餌をあげているということは、飼い主扱いになりますので、一概に野良猫と決め付けることはできません。なので、持って来られてもかわいそうですが引き取りはしません。

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LE:センターへくる猫や犬の数を減らすために、飼っている人も飼っていない人も、何かできることがあれば教えて頂きたいです。

センター:我々としては、飼っている人が「飼い主の責任」をきちんと認識をしていただいて、まずは逃がさないよう対策していただきたいです。また、万が一逃げてしまったときも、飼育されていたとすぐ分かるような手立てを普段から行なっていただきたいです。迷子札をつけていただくとか、費用はかかりますが、マイクロチップを入れていただく。犬であれば法律に則って、登録と狂犬病の予防注射をしていただければ、登録では鑑札が貰え、注射を打てば注射済票がもらえます。それを必ず首輪だとかに付けていただくと、誰かが保護をしたとしても、飼い主が探せます。

 

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センターの相談件数の内訳をみると行方不明の件数が4269件と全体の33%を占め、迷子の件数の多さを実感します。

 

LE:センターにくる犬や猫を減らすために迷子対策も非常に重要ということですね。


第一回「なぜ、たくさんの動物が保護・収容されるの?」
第二回「不幸ないのちを生まないために」
第三回「譲渡数を増やすよりも、苦境におかれる動物を減らすほうが大切。」
第四回「なんとか少しでも生かしてあげたい。愛護団体に支えられて。」
第五回「保護動物を家族に迎え入れるにあたって。」
第六回「災害時に大切なペットを守るために。」


写真:服部たかやす

プロフィール写真002 - コピーPROFILE
1970年愛知県生まれ。写真家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。独学で写真を学び、雑誌専属カメラマンを経て、写真家として活動を開始。“人”を中心に、土地、文化、歴史、自然を重層的に捉えて撮影するスタイルで作品を製作。ドキュメンタリー的な視点を持ちつつ、フォトグラフィー、アート、デザインの間を往還する写真を撮り続けている。01年、動物愛護センターに集められ、譲渡を待つ子犬をテーマにした写真集『ただのいぬ。』(PIE BOOKS&角川文庫)を発表。05年、世田谷文化生活情報センター 生活工房で開催された写真展「ただのいぬ。展」は入場者5,000人を数え大きな反響を呼んだ。著書に『Do you have a home?』(ジュリアン)、共著に『写真以上、写真未満』(翔泳社)等。保護犬の存在を通じて犬と人との関係を考えるアートプロジェクト、「ただのいぬ。プロジェクト」の主宰。