当日は、とても人懐こいアメリカンコッカースパニエルのチャドゥちゃんが、出迎えてくれました。
LEONIMAL(以下 LE):初対面でこんなに人懐こい子はなかなかいないですよね。チャドゥちゃんはいくつですか?
西川さん(以下 西川):引き取って飼い始めたのが、2歳前で、今年で7年飼っているので9歳くらいになりますね。
LE:最初からこんなに人懐こかったのですか?
西川:はい、うちにやってきて1 か月くらいですぐ慣れました。チャドゥは前の飼い主さんがつけた名前で、韓国語で「すもも」という意味だそうです。女性に飼われていたので、割と女性には懐きやすいです。
LE:猫も2匹飼われているということですが、きっかけは何ですか?
西川:猫は2年前からです。このあたりは何代にも渡って住み着いている野良猫が多いんです。いわゆる地域猫ですね。定期的に餌をあげていた方が病気になってしまって。地域猫というのは、餌をもらえる家や人を見抜いて懐く能力が高いようです。生きていくための営業努力でしょうね・・・。私も馴染みの地域猫がいまして。母娘2匹でいつも行動していたんですが、ある日、赤ちゃん猫1匹も連れて中庭にやって来たんです。
LE:西川さんなら何とかしてもらえるかもしれない、と本能的に悟ったんでしょうね。
西川:確かに何とかしてあげなくては、と思ってしまいました(笑)。その時は2 日後には知り合いで里親になってくれる方を見つけ、やれやれと思っていたのですが、次のシーズンに母娘それぞれが2匹ずつ赤ちゃんを産んで、また中庭に立っていたんですよ・・・。
LE:今度は4 匹ですか!?
西川:そうなんです・・・正直、パニックでした(笑)。とりいそぎ中庭に発泡スチロールや段ボール箱で雨除けを作って滞在できるスペースを確保しました。仕事の傍ら、赤ちゃん猫4 匹の里親探しには苦労しましたね。さすがにこれでは同じことの繰り返しになる、と思い、母娘には不妊手術を受けさせました。赤ちゃん猫がもらわれていった後も、中庭で飼っていましたが、徐々にごはんのタイミングなどで屋内で暮らすようになり、今では室内飼育です。
LE:チャドゥちゃんと猫ちゃんたちの同居は、最初からうまくいきましたか?
西川:チャドゥは穏やかな性格ではあるので攻撃はしませんが、飼い主が猫たちに取られてしまうのでは、という不安や嫉妬はあるみたいです。ストレスがたまると、箱を噛んだり、ある時はキッチンにおいてあった1/4カットの白菜を丸ごと食べてしまったこともあります。
LE:え、白菜ですか?!
西川:もともと野菜も好きで食べるんですよ。でも1/4 カットはさすがに食べすぎです(笑)。あと、リップクリームを延べ10 本くらい、容器ごとガムのように噛んでぐちゃぐちゃにしてしまったこともあります。
LE:リップクリーム・・・。
西川:それとこっそり猫のご飯もつまみ食いしていたのには、びっくりしました。
LE:チャドゥちゃんなりのアピールかもしれませんね。
西川:そうだと思います。家にいる時は、ずっと私の後をついて回っています。不安のサインはちゃんと読み取ってあげないといけないな、と感じます。
LE:猫ちゃんたちはどうですか?
西川:娘猫のネネも母猫のミミも、チャドゥが先住者だという意識があるようです。特にミミはチャドゥに気を遣っています。
LE:3 匹の関係をスムーズにするために、気を付けておられることはありますか?
西川:序列は大切かもしれません。ご飯は、必ずチャドゥからあげるようにしています。
LE:ルールを守ることは、人と同じく、動物も家族になる上で重要なんですね。
西川:本当にそうです。普段はつかず離れずですが、寒い日には3匹で仲良く寄り添って寝ているのが微笑ましいです。彼らなりの関係性が築けているのかなと思います。
LE:体調管理で気を付けていることはありますか?
西川:それぞれ体調を崩したことがあるので、ご飯には気を付けています。ネネは膀胱炎の治療中で、病院で味の濃い食事を処方されました。水をどんどん飲ませるために味付けを濃くしているそうですが、味がしっかした食事を美味しく感じるのは猫も同じようで。食が進んでいますが、食べ過ぎてしまうのもあまり健康にはよくないと思うので、膀胱炎や結石が治ったらナチュラルなフードに戻していきたいです。
LE:チャドゥちゃんはどうですか?
西川:関節が弱い犬種なので、グルコサミンを与えています。それとお腹が弱いので酵素をあげるようにしています。
LE:GRAMP は使っていただいていかがでしたか?
西川:運ぶ機能と居住空間が一体になっているアイデアは良いですね。うちと同じく、知人・友人も多頭飼いの家が多いので、複数のペットを運ぶのに対応するアイテムが今後できるといいなと思います。チャドゥだと狭いので、サイズ展開もあるといいですね。キャスター付だったり、重ねて運べたりすると安心です。
LE:貴重なご意見ありがとうございます。是非、今後検討していきたいです。ペットとの防災については、何か備えをされていますか?
西川:猫用のハーネスは買いましたが近くの避難所は学校なので、実際にペットを連れていくとなると、どうなるか・・・同行避難は厳しいケースが出てくるかもしれません。様々なケースとそれに合わせた方法・選択肢を考えておきたいです。
LE:西川さんにとって、ペットはどのような存在ですか?
西川:家族、ですね。人も動物も、家族としてそれぞれケアが必要だし、きちんと正面から一人一人、一匹一匹と向き合わなくてはいけない。
LE:向き合ってこられたからこそ、今のチャドゥちゃん・ミミちゃん・ネネちゃんとの関係性があるんですね。
西川:こんなに増えてしまうとは思いもよりませんでしたが(笑)。よく猫は飼ったら多少ほったらかしでも大丈夫、と聞きますが、実際はそうではないですね。最近猫を飼い始めた友人も、「ほったらかしでいいなんてウソ」と言っています。命と向き合うことは、本当に大仕事です。大変だけれども、だからこそ家族としてのつながりが築けるのだと実感しています。
編集者 西川里枝さん Profile
デザインや旅などライフスタイルにまつわる雑誌の編集や執筆を行う。雑誌「Casa BRUTUS」や「BRUTUS」をはじめ、書籍などに携わる。デザインイベント「how studio」を企画、主宰する。