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設計事務所イマの小林恭さん・マナさんのインタビュー。
前回は個性あふれる猫たちとの出会いと暮らしについてお届けしました。

今回は、東日本大震災をきっかけに始められた活動、その中での犬たちとの出会いについてお届けします。

LEONIMAL(以下:LE):猫は飼うのが簡単とよく言われますけど、それぞれ個性もあって、大変な面があるんですね。犬との出会いは何がきっかけだったんですか?

マナさん(以下:マナ):東日本大震災が起きて、それまではずっと猫おばさんだったんですけれど、被災地で動物が結構取り残されているのを知りました。残された動物たちについていろいろ調べていくうちに、日本の動物事情も知り、殺処分の現状を知ったんですね。日本の動物はそんな過酷な状況に置かれているんだと胸が痛みました。自分に何かできることはないかと思い、一般社団法人ランコントレ・ミグノン(http://rencontrer-mignon.org)の代表の友森さんに、いちボランティアとして私の方から声を掛けさせていただいたんです。そうすると、「ちょうどシェルターの物件を借りてきたばっかりなの!」ということだったので「それだったら私が設計できるからやらせてほしい」と申し出ました。

シェルターができあがって、お散歩ボランティアに登録したんです。予想以上に頻繁にお散歩ボランティアに行けたので、これなら自分でも犬1匹預かれるかもと思い、福島からきた被災犬タケを預かりました。2013年の夏のことです。

LE:タケはどんな子だったんでしょうか。

マナ:タケには飼い主がいらしたのですが、震災でご家族一緒に住むことができなくなり、全員バラバラの地域に住まわれていたんですね。犬は引き取れないけど手放したくないというのでミグノンで預かることになりました。老犬でもあり、そのご家族が一緒に住むことができる日がいつ来るのかわからなかったので、一生面倒をみるというつもりで預り始めました。結局その子は、肺炎で7ヵ月でなくなってしまったんですが。
次に来た子もココという15歳の柴犬で、1年ぐらい預かりました。うちに来たときは結構なおばあさん犬だったんですけど、毎日散歩していたら元気になってきて、おばあさんがだんだんおばちゃんに戻っていって、とうとうもらわれました!

恭さん(以下:恭):そうそう、おばちゃんになってたよね。(笑)

マナ:ココがもらわれていってから1週間後ぐらいに、チョコを預かりました。なのでチョコは3頭目なんですよ。

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チョコは1階の事務所で暮らしている。部屋の真ん中がチョコのお気に入りスペース。

LE:出会いと別れの繰り返しで、寂しくなりませんでしたか?

マナ:そうなんですよ。確かに寂しく感じる時はあります。ただ、最初に預かったタケは28kgある大型犬で、サモエドとレトリバーのミックスじゃないかと言われていたようなとても大きな子だったんです。すばらしく美しい犬だったので連れていると「犬種は何ですか?」とか「大きくてかわいいですね!」とか、本当によく声をかけられたんですね。私自身も可愛がって世話をしていました。
タケが亡くなった時にまたミグノンに行ったら、よれよれになった老犬がいっぱいいて、なんか急に「タケはいいよなぁ」と思ったんですよね。もし、譲渡会に出したとしてもすぐ貰い手がついただろうし。名もなき、見た目はかわいくない子たちとか、老犬がいっぱいいるから、そういう子たちを助けた方が良いのだとしみじみ感じて・・・。なかなか貰い手がつかない子たちを助けた方がいいかもと、次も老犬を預かったんです。

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ちょっと事務所からとびだすチョコ。

LE:老犬たちは譲渡されずに残っている。そういった子たちのこともしっかり気にかけるマナさんに、動物に対する深い愛情を感じます。今までお散歩ボランティアや預かりボランティアなどの活動通して、最も印象的だったエピソードをお聞かせください。

マナ:動物は何も言えないので、どんな状況で飼われていたのかなと、考えてしまいますね。ココは最初、散歩してても一直線に何も見ず、ただ歩くだけだったんですよ。公園などにつれていって散歩しているうちに臭いをかぐようになって。それまで声をかけても振り向かなかったんですが、振り向くようにもなりました。
それまでいったいどういう飼い方をしていたんだろう・・・多分つながれっぱなしだったんじゃないかと思ったんです。それでそういう飼われ方をしている方がたくさんいるんじゃないかと、少し寂しくなりましたね。なので啓蒙活動というほどではないけれど、犬と心通わせ合う飼い方が広まっていけばいいなぁと思います。
犬は声をかけて、接すれば接するほど応えてくれる生き物です。お散歩中でも声をかけるとこっちを向いてくれるし、ただ連れて歩いてる方たちもそうやってコミュニケーションをとるようなトレーニングをするともっと犬と楽しくすごせるようになるんじゃないかなと感じています。

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後ろには亡くなったジョージの位牌が。ギルバートといっしょに引き取られた仲良し兄弟でしたが2015年に亡くなりました。人見知りなギルバートも、今ではマロンと仲良しに。

LE:動物と暮らすようになってからお二人の生活で何か変わったことはありますか?

マナ:相当変わりましたね!お家も建てちゃってるので(笑)。 基本的に仕事は夫婦でやっていて、スタッフもいますけど、住宅と職場を限りなく近くしたいなってずっと思っていたんですね。動物たちも病気になることもあるし、老犬ばかり預かっているのでほっとけないというのもあるので。
犬だけでなく猫が大病を患って、仕事差支えるぐらい病院にいったりとかしなければいけなかったので、まず動物の為に職住を連結したかったんです。スタッフみんなも私たちがいないときにちょっとケアをしてくれています。
動物を飼うというのは実際、大変なことですね。年を取ってくると本当に目が離せないし。だから、かわいい、だけで飼うものではなく、人生が変わるぐらい大変なことだと実感しています。

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1階の玄関は靴のまま入るシステム。玄関を入ると階段が。この上を上るお二人の住まいとマロンとギルバートの2匹の猫の住処だ。

LE:最近こちらに引っ越されて、そのあたりはだいぶ改善されましたか。

マナ:そうですね。犬は1階で身近にいるので、起きたらじゃあトイレ行ってこようか、と気軽にちょっと外出することができたり。今まで自宅はマンションで、事務所もビルの4階だったりしたので、1階っていうのはいいですね。犬を飼うには非常に都合がいいのと、1階は靴で生活するようにしているのですぐ外出できるのも利点です。

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1階の玄関を入るとすぐに見えるのがキッチン。隣には大きな木のテーブルが印象的な打ち合わせスペースが。平日は事務所用、休日はお二人のキッチンになり、ダイニングテーブルになるのだとか。

恭:1階は犬を飼っているのでそれはすごい楽ですよね。

マナ:1階と2階で猫と犬を分けたのは、ギル(ギルバート)が非常に神経質なのもあって、犬が一緒にいる状況が好きではなかったみたいなんですね。

恭:うん。よく、ケンカ吹っかけてるからね。

マナ:バシバシみたいな(笑)。

恭:びんたしてたよね。でも、チョコは目が悪いから何が起こってるかわかってないよね (笑) ふぉーとかってあくびしている感じで。

マナ:そうそう(笑)。

恭:だから、ギルがちょっとかわいそうだなぁっているのはあったんですね。分けて正解だったと思います。

マナ:今はギルバートも2階のリビングに出てきて、ちいさなネズミのおもちゃで遊んでたりするんですよ。15歳ぐらいですけど。でも犬がいたときはどうしてもフロアに行けないので、ソファーの上でじっとしているばっかりでちょっとかわいそうでしたね。今はかなり寛いでいます。

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恭:怖がるっていうか嫌みたいでしたね。

マナ:私たちからしたら3頭目の犬だからもういいでしょ、とか思うんですけどね。

LE:動物同士の相性もあるんですね。

マナ:本当に大丈夫な子もいると思うんですけど、ギルを見ていると、同居はあまり好きじゃなくて結構気を使っていたんじゃないかと思います。時々毛が抜けたり、ちょっと病気をしていたりだったので。それに、ストレスがたまるとすぐはげちゃうんです。

LE:動物を飼うって本当に大変なことなんですね。動物同志の相性もそうですし、病気もするし、お金もかかるし、年も取る。それらを覚悟して飼わなければいけないと感じます。動物と暮らすには様々な工夫をしていく必要があるんですね。


マナさんの動物たちへの愛情あふれるエピソード、動物たちとの生活を楽しむ恭さんの温かいまなざしがステキな時間でした。
次回はお二人に手掛けていただいたリュック型ペットキャリーGRAMPについてのお話をお送りします。



設計事務所イマ 小林恭さん・マナさん

物販や飲食店などのお店の内装設計やインテリアデザインをメインに活動。フィンランド発のライフスタイルショップ マリメッコの日本全国の店舗設計に加え、フィンランド本国やニューヨーク等世界の旗艦店の店舗設計も手掛ける。また、フィンランドのテキスタイルメーカー、ラプアン カンクリの本拠地ラプアのファクトリーショップの内装・インテリアデザイン、ファミリアやイタリアのブランド イルビゾンテの店舗設計にも携わる。店舗設計・インテリアデザイン以外では、小さな作家さんの展覧会から東京ビックサイトで行われる大規模な展覧会にいたるまで会場構成・ディレクションを手がけ、様々なプロダクトデザインも行なっている。
http://www.ima-ima.com/


公園商店 〜パークストア〜にて、設計事務所イマのお二人に手掛けていただいたLEONIMALアイテムが登場!

吉祥寺に関わりのあるクリエイター、ショップなど、個性豊かな面々のアクセサリーから雑貨、Tシャツ、バッグ、本などのアイテム が賑やかにあつまるポップアップ商店が登場!公園のような、商店のような、吉祥寺的買物空間が楽しめます。

LEONIMALはお二人にデザインを手掛けていただいた「リオニマルリュック型ペットキャリーGRAMP」や、コンセプト&アートディレクションを手掛けていただいた「フリーランドリー」等を展示販売させていただきます。

5月25日(木)ー6月3日(土) 10:00-21:00
吉祥寺パルコ地下2F・パルコブックセンター内

イベント詳細→https://aisocial.jp/parkstore/