Warning: A non-numeric value encountered in /home/xs880243/aisocial.jp/public_html/wp-content/themes/Divi-3/functions.php on line 5850

animo_20170731_078-min

 

愛知県岡崎市の東公園内にある「岡崎市動物総合センター・Animo(あにも)」。東公園内に動物園も隣接しており、広々として明るい雰囲気の施設です。動物園や公園があるため、自然と足を運んでしまうような施設になっているのが印象的です。こちらの施設では、東公園動物園の管理運営加え、動物の保護・治療また、管理・譲渡等様々な事業を行っています。今回LEONIMALは岡崎市動物総合センター・Animo(あにも)にお話を伺ってまいりました。全10回に渡り、センターで保護・収容される動物たちや、ペットと飼い主さんが抱えている問題、長期的な目線で捉えた子どもたちへの早期教育など幅広い取り組みに対してインタビュー形式でお届けしてまいります。第四回では、飼い主のいないのら猫に対する対処法に関してお伺いしています。

 


 

 

animo_20170731_079-min

 

LE:猫の飼い主さんへの飼育レベルの底上げに関しては、「①室内飼い」「②避妊手術」「③所有者明示」の3つから事故、感染病、望まれない妊娠等を防いでセンターへの猫の保護・収容数を減らすことにつなげることができることが分かりました。しかし、のら猫の場合はどうしたらよいのでしょう。

 

所長:日本では、TNR (Trap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻す,その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットする)といった活動行い地域でのら猫を飼う地域猫という考えが広がりつつありますね。

 

LE:そうですね。さくら猫というのは身近になってきていますね。

 

animo_20170731_076-min

 

所長:各国ののら猫の対策がいろいろ面白く、考えさせられます。捉え方を見てみますと、地域猫にかんして、アメリカの一部の地域では禁止されており、ドイツは猟が認められているので、のら猫を撃つことが合法でそれは行政が行う殺処分ではなくあくまで民間です。イギリスでは日本と同じように地域猫を促進していますが、イギリスの場合ですと猫を施設で引き取らない為、200万頭だった猫が700万頭まで増えたというケースもあるとのことです。これはイギリスと日本が全く一緒ではないので日本でも同じようになるとは限りませんが、そのあたりの情報もしっかり調べたうえで私としては根本の解決になることを探りたい。そのように思っています。

 

animo_20170731_090-min

 

LE:日本と状況が全く一緒ではないので何が良くて何が悪いとは言えないと思いますが、それにしても国によって全く違いますね。

 

所長:そうですね。当センターではのら猫の問題解決のために「岡崎市猫の避妊処置モデル事業」というものを始めました。

 

LE:どのような事業なのでしょうか?

 

 

所長:所有者のいない猫の被害を少しでも減らすため、それらの猫を捕まえ、避妊・去勢を実施し、元いた場所に放して、これ以上猫が増えないようにしていく事業です。のら猫を捕獲したら、メスの場合は岡崎市の動物総合センターで避妊手術を行い、オスの場合はその地域や自治体に負担していただくというやり方になっています。

 

LE:TNRや地域猫と似ているような。

 

animo_20170731_088-min

 

所長:そうですね。しかし、この事業はあくまで地域や自治体が主体的に、地域環境を良くしようと動くことになります。また、捕獲した猫がのら猫なのか飼い猫なのかを判断したうえで、避妊手術をしなければいけません。その自治体や地域でねこを飼っている人に対しては、飼い主表示の徹底や、この事業を行う場合、室内飼いの啓発も同時に行っていくことが必修になってきます。

 

LE:のら猫の対策と同時に飼い猫の飼育レベルの向上にもなっているということなのですね。

 

animo_20170731_095-min

 

所長:はい。我々がいつも考えていることは、動物に関する問題を解決するときに、自分たちでできることは何かというのをいつも考えています。市の施設として、限られた予算、人員、時間の中で、我々でできることを工夫して行っていく必要があると思うのです。そういった軸がある上で、ボランティアの方々や愛護団体の方々にも支えられ感謝しながら行っていけることが大切だと思っています。ですので、ボランティアさんがいないと成り立たないというような、愛護団体さんに引き取ってもらわないとゼロにできない、誰かに依存するような状況にならないような事業を行っていかなければいけないと考えています。

 

animo_20170731_070-min

 

岡崎市猫の避妊措置モデル事業(PDFダウンロード)

 


第一回「県内で最も厳しい譲渡制限、55歳未満に込めた思い。」
第二回「猫の飼育レベルの底上げ。」
第三回「飼い猫か、のら猫か、境界線があいまいな猫たち。」
第四回「飼い主がいない捨て猫のら猫への対処法は。」
第五回「高齢の方からの引取り」
第六回「大事なのは、どうしてここへ持ち込んだのかをきちんとヒアリングすること」
第七回「早急な“ゼロ”ではなく、本来の “ゼロ”を目指す」
第八回「アレルギーのある子もどう関わってもらえるのか。岡崎市内の年長児さんに来てもらうなかよし教室」
第九回「路上で死んでいる動物と殺処分される動物って同じ死かな、死に違いがあるかな、どっちがかわいそう?」
第十回「迷子の子だけではなく、事故に遭って亡くなってしまった子の飼い主も探す。返還率70%の裏側に職員の努力。」


 

写真:服部たかやす
プロフィール写真002 - コピー
PROFILE
1970年愛知県生まれ。写真家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒。独学で写真を学び、雑誌専属カメラマンを経て、写真家として活動を開始。“人”を中心に、土地、文化、歴史、自然を重層的に捉えて撮影するスタイルで作品を製作。ドキュメンタリー的な視点を持ちつつ、フォトグラフィー、アート、デザインの間を往還する写真を撮り続けている。01年、動物愛護センターに集められ、譲渡を待つ子犬をテーマにした写真集『ただのいぬ。』(PIE BOOKS&角川文庫)を発表。05年、世田谷文化生活情報センター 生活工房で開催された写真展「ただのいぬ。展」は入場者5,000人を数え大きな反響を呼んだ。著書に『Do you have a home?』(ジュリアン)、共著に『写真以上、写真未満』(翔泳社)等。保護犬の存在を通じて犬と人との関係を考えるアートプロジェクト、「ただのいぬ。プロジェクト」の主宰。